「NISA」という制度をご存じの方は多いと思います。NISAに加えて2018年からは、「つみたてNISA」の制度も導入されました。そこで今月は、NISAとつみたてNISAの制度の違いや活用方法をご紹介します。

売却益や配当が非課税になるメリット付きの運用法

まずは、両者に共通するしくみから説明します。NISAは、「少額投資非課税制度」といい、NISAでは年間120万円まで、つみたてNISAでは年間40万円までの投資ができます。購入した商品を売却して利益が出たり、運用期間中に配当を受け取ったとしても、税金が課せられないのが最大のメリットです。私自身の経験として、最近の株式市場の影響で、値上がりした株の一部を売却したのですが、「NISA口座で購入しておけば、非課税ですんだのに」と後悔しました。

しくみとしての両者の違いは、NISAは株式や投資信託を自分の好きなタイミングで購入するのに対し、つみたてNISAは投資信託を積立方式で購入していくということ。つみたてNISAに関しては、金融庁のルールに沿った投資信託、具体的には販売時や運用中の手数料が安く、リスクも抑えられたタイプの投資信託を利用した積立に限られます。またNISAの運用期間は原則5年なのに対し、つみたてNISAは最長で20年間の運用が可能になっています。

2018年からつみたてNISAの制度が加わったことで、従来のNISAとつみたてNISAの両方を利用できると思う方もいるようですが、利用できるのは「どちらかひとつ」。たとえばすでにNISAを利用している人が、2018年はつみたてNISAに変更したいと思う場合、NISA口座での購入はできず、つみたてNISAだけの利用になります。すでに2018年にNISA口座で投資商品を購入していた場合は、来年、2019年になるまでつみたてNISAをスタートすることはできないのです。

投資を始めてみたいなら「つみたてNISA」がおすすめ

「NISAとつみたてNISAのどちらを利用するのがよいでしょうか?」という質問を受ける機会が増えていますが、投資を始めるタイミングに迷う投資初心者の方は、つみたてNISAのほうがスタートしやすいと思います。コツコツと積み立てていく方法ですので、自分で購入のタイミングを計る必要がないからです。

いっぽう、株や投資信託の銘柄を自分で選んで、タイミングを考えながら投資したい場合は、NISA口座が向いています。株式市場が好調な時は、購入するのは難しいタイミングですが、投資の勉強をしたい方はNISAを利用されるとよいでしょう。

ところで、NISA口座を利用する際に知っておきたいことがあります。つみたてNISAは、積立額の上限が40万円なのでわかりやすいと思いますが、NISA口座は「1年間で120万円までの購入」しかできません。たとえば2018年に120万円分の株式を購入していたとして、そのうち40万円で購入した株式を売却したとします。その場合、40万円分の枠が空いたとしても、同じ年にその40万円分の枠を再利用はできません。NISA口座でもっと購入したいと思っても、来年、2019年まで購入を待つしかないことを理解しておきましょう。

大学在学中の学費準備を「つみたてNISA」で

さて、投資初心者の方にはつみたてNISAがおすすめと書きましたが、最長20年の運用ができますので、教育資金の準備にも向いた投資法だと思います。教育資金作りのベースの部分は、学資保険で準備するのが望ましいですが、学資保険の返戻率が下がっている昨今、学資保険での準備額は使う時期が確定している入学時の費用くらいにとめておき、在学中の学費はつみたてNISAを利用する方法もあります。

入学時期の学費の準備につみたてNISAが向かない理由は、大学に入学するころの運用状況が思わしくなかった場合、損を出してまで換金するのは気が進まないと考えられるから。利益が出ると断定はできないため、入学時期に必要になるお金は、学資保険での準備が向いているわけです。学資保険のほかに、つみたてNISAで毎月1~2万円くらいの積み立てを行うと、お子さんの大学時代の学費の大部分を準備できるのではないでしょうか。