はじめに
HELLO!
1980年に2人の娘(3歳と1歳)と一緒にアメリカから日本にやって来た青い目のテリーです!
子育て、食べ物、洋服、生活、季節、習慣、文化・・・日本とアメリカでは違うことばかり!
だけど、いろいろな日本とアメリカの違いのおかげで、とっても面白くて楽しい子育てができました!
外国人のママが少なかった当時の“青い目の子育て奮闘記”をどうぞお楽しみください!
プロフィール
Teri Suzanne テリー・スザーン
元「こどもの城」国際交流部長。作家。切り紙のイラストレーター。声優。日本や韓国、香港、アメリカでの講演や、NHKの番組、青山円形劇場への出演などもこなす。子どものためのバイリンガル教育教材コンサルタントとして『えほんや』『エーゴ旅行社』(iTunesアプリ)の英訳と声優を担当。
あめあめ、ふれふれ
6月になりましたね。2014年は半分終わることになります。早いものですね。
日本に住んで大好きだったのは、はっきりした「季節」です。人間にとって、季節をひとつずつ感じる、楽しめる、体験することはとても重要なことです。
日本に引っ越しをする前に、アメリカ・カリフォルニア州にあるサンフランシスコに住みました。海のすぐそばにある、霧の多い町です。涼しい日があるし、風 もあるけれど、季節は日本のようにはっきりしていませんでした。すごく寒い時期や雪がない町でしたので、台風や梅雨、そして夏の蒸し暑さは知りませんでし た。
日本の梅雨を初めて体験したときには、本当にびっくりしました。「いやあああ!」でした。だって、雨が毎日、一日中降りました、降りました、降りま した!!きゃあああ! 寝るときも起きるときも、出かけるときも帰って来るときにも雨雨雨! 娘たちを幼稚園や保育園へ連れて行ったり来たりするとき、傘 や雨靴が必要でした。子どもの小さい傘、大人の大きい傘…傘だらけ! いろいろな色やデザイン、形は、とっても楽しいことでした。子どもの傘ならくまちゃ ん、かえるくん、ぞうさんなどなど。雨がいやでも、楽しい傘やかわいい雨靴、レインコートなどがあれば、にこにこ楽しく過ごせました。
かわいい傘を持った子どもたちに私は、傘のマナーを教えました。道を歩くときの傘の持ち方、お家に入る時には傘の水を絞ること、きれいにたたんでし まうこと。傘のような、日常生活で使うものを大切にすることや、その扱い方やしまい方を子どもにきちんと教えることは、とても役立つと思います。
今年の春に東京に行ったとき、よく雨が降りました。桜たちもきっと、小さな傘が欲しかったのではないでしょうか。そのときにも、駅のホームや階段、エスカ レーターなど、傘のマナーがしっかりしている方が少ないと思いました。傘を縦ではなく、横に持つ人もいました。やっぱり小さいときに子どもに傘のマナーを 説明しなければいけないと思いました。そうすれば、大人になっても忘れることはないでしょう。
先日カリフォルニアで雨が降りましたが、母の家には傘が1本しかありませんでした! 日本では玄関の傘立てにいつも、傘が山ほど置いてありました。 日本のみなさんは駅や買い物などでよく歩くので、傘はとても大事です。急に雨が降っても、コンビニですぐに安い傘を買うことができてとても助かります。本 当に便利です。
しかし、こちらでは歩くよりも車で出かけることが多いので、傘はそんなに必要ないようです。不思議ですね。
大雨や台風のなか、傘をさして歩くことは大変ですが、歩きながら傘をさして、雨の音やにおいを感じることはすごくすてきです。私は、傘をさすことが好きです。
また、バルコニーにぶら下がる傘もきれいですね。渋谷駅の周りのビルの上から下を見ると、傘をさしているみなさんもおもしろいし、きれいです。みなさんはどのように傘を選ぶのでしょうか? 傘を見ると人間の性格がわかるのでしょうか?
日本の傘は素晴らしいと思います。1970年に日本に初めて留学したとき、日本の折りたたみ傘がとても不思議なものに見えました。母と父に折りたたみ傘を 買って帰ったのですが、その傘を選ぶときには本当に悩みました。なぜなら、デザインや色があまりにも美しく、なかなか選ぶのが難しかったからです。
母のために青いあじさいのデザインを選び、父は茶色の傘を選びました。父はその傘をずっと車に置いてくれました。母は引き出しにしまってときどき使い「とても便利です」と言ってくれました。
日本にはもうひとつ、不思議な傘がありました。それは日傘です。日本での初めての夏、傘をさす女性がたくさんいました。雨の降らない日に傘? というのが、本当に不思議だなあと感じました。
娘たちも小さいとき、日傘を見て不思議な顔をしていました。日本のおばあさんに「なぜ雨でもないのに傘をさすの?」と聞きました。おばあさんは「女性にとって白い肌は大事。皮膚を守るために傘をさすのよ」と説明してくれました。
そのあと娘たちは、夏にカリフォルニアのおじいさんとおばあさんに会いに行きました。そこでは外に出ても、誰も傘をさしていません。傘なしで歩いたり、遊んだり、できるだけ日焼けを望んでいる人が多かったのです。
のちにアメリカへ行くとき、娘たちといっしょにアメリカのおばあさんにレースのあるきれいな日傘を選んで買って行きました。母はびっくり! きっと使わなかったと思いますが、大事に大事にしまってくれました。
私たちにとって、日本での季節の移り変わりはとても良かったと思います。季節による食べ物や天気、洋服、使う物や気持ち、虫の音、などは非常に大事 なことです。季節は鼻や目、肌、耳、からだ、口のための素晴らしい先生です。季節をひとつずつ体験しながら、子どもにも大人にも、さまざまなことを教えて くれます。
たとえば今、6月の梅雨のころには、食べ物がすぐダメになります。初めて日本に住んだときにこれを知りませんでした。でもおばあちゃんが教えてくれたおかげで、子どもも私も食べ物のことをもっと知ることができ、注意することができたのです。
季節のおかげで人間の知恵が増えていきます。そして母や父が娘や息子に、その季節に関する大事なことを伝えます。そのあとは、娘や息子が、自分の子どもたちに、そしてその子どもたちへ、と、伝えていくのです。
季節は人間を大切に、厳しく育ててくれます。季節は人間の重要な親友です。人間はこの地球を、もっともっと大事にするべきではないでしょうか。
6月には、出かけるときに傘を忘れないで! でも「傘を忘れたら必ず雨が降る」とか「傘を持って行くと雨が降らない」ということもよくあることですね(笑)。
雨が降ったら感謝をして、心のなかで歌いましょう。
あめあめふれふれ、かあさんが…って。
来月は、花火や夏の楽しい話を! Enjoy the rainy season!