はじめに
HELLO!
1980年に2人の娘(3歳と1歳)と一緒にアメリカから日本にやって来た青い目のテリーです!
子育て、食べ物、洋服、生活、季節、習慣、文化・・・日本とアメリカでは違うことばかり!
だけど、いろいろな日本とアメリカの違いのおかげで、とっても面白くて楽しい子育てができました!
外国人のママが少なかった当時の“青い目の子育て奮闘記”をどうぞお楽しみください!
プロフィール
Teri Suzanne テリー・スザーン
元「こどもの城」国際交流部長。作家。切り紙のイラストレーター。声優。日本や韓国、香港、アメリカでの講演や、NHKの番組、青山円形劇場への出演などもこなす。子どものためのバイリンガル教育教材コンサルタントとして『えほんや』『エーゴ旅行社』(iTunesアプリ)の英訳と声優を担当。
虫虫あのね。
夏になるとこどもたちの楽しみは虫。昆虫です! かごのなかでクワガタやカブトムシを幼虫から育てていきます。また、山へ探しにも行きます。子どもにも大人にも、自然は素晴らしい先生ですね。
Beetles <カブトムシ・クワガタ>
娘たちが小さいとき、小さなクワガタを見つけました。ダイニングテーブルの上にかごを置き、家族みんなでいつもクワガタちゃんに話しかけました。不 思議なことにこのクワガタちゃんは、私たちが話をするとまるで一生懸命聞いているように頭を上にしたり、私たちが家に帰って来ると、パタパタと犬のように かごのなかを歩いて迎えてくれたりしました。本当にかわいかったです。
私たちのクワガタちゃんはキュウリが大好き。一番好きな食べものはスイカでした。クワガタやカブトムシには正しいエサがあります。それはみつです。しかし初めてのクワガタなので、みつより果物のほうが良いと思いました。
秋になり、スイカがないのでメロンを買いにいき、日本のメロンの値段の高さにびっくりしました! 結局クワガタちゃんのためにメロンを買ったのですが、日本のおばあちゃんに「大切なお金を虫のために使うのはだめ!」と大変怒られました。あとで知ったの ですが、メロンやスイカはクワガタやカブトムシには甘みが強すぎるのだそうです。
クワガタやカブトムシの命は短かく、冬までは命がもたないと聞きました。私たちのクワガタちゃんは12月までがんばって生きてくれました。亡くなったときには泣きました。そして、大切にお墓を作って埋めました。
子どもにとって、虫や金魚、犬,猫などを育てる経験は大事だと思います。素直になるし、世話をすることによって責任感も感じます。何よりも子どもの心に残る、大切な思い出になることでしょう。
Praying Mantis <カマキリ>
クワガタは楽しい思い出でしたが、少し怖い思い出もあります。
駒沢公園のそばに住んでいたときのことです。家のすぐ横には公園の塀があり、娘たちが遊びにいくときにはその塀をのぼっていきました。駒沢公園が庭 のようでした。 ある日、娘たちが葉っぱについたおもしろいあわのようなものを持って帰ってきました。きっと虫の卵だと思い、ガラス瓶のなかに入れ、ふたに小さな穴をあけ て玄関に置きました。しばらくたったある日、出かけるときに瓶のなかを見たら、なんと! 何千匹ものカマキリの赤ちゃんが!!! きゃーーーーーー!
私も娘たちもカマキリは大嫌い! 顔は怖いし、あまり好きではなかったんです。瓶のなかはカマキリだらけ! 家のなかに逃げたらもっと大変です。外へ連れて行き、家から離れたところに逃がしてあげましたが、あれから家の周りにカマキリ、カマキリ、カマキリ…よく 見かけました。とってもいやでした!!
Bell Cricket <スズムシ>
もしもし? まだ虫の思い出はあります。鈴虫をご存知ですか?
あるとき、友達から鈴虫をたくさんいただきました。とてもうれしく、娘たちも喜んでいました。どんな鳴き方をするのかなと思っていたら、ある日、と てもすてきな歌を歌ってくれました(日本語では虫は「鳴く」ですが、英語では「歌う」(sing)なんです)。最初は本当によかったのですが、それから夜 中までずっと、ずーっと鳴き通し! けっこうるさかったですが(笑)、でも、うるさくてもほんとうに美しい鳴き声でした。
こおろぎも時々家のなかに入ってきました。アメリカでは良く、家にこおろぎがいるのはラッキーだと言われます。運が良いことなんですね。だから、絶 対に殺すことは出来ません。アメリカのこおろぎはかわいいし、鳴き声もすてきですが、こおろぎ(cricket)の鳴き声に関してはsingではなく chirpと言います。
Mosquito <カ>
娘たちとの蚊の思い出もたくさんあります。
ヤブ蚊は一番嫌な虫。刺されたら大変! なかなかかゆみがとまりません。蚊取り線香なしでは蚊のいるところには寝られません。初めて蚊取り線香を見たときは、匂いも不思議だし、面白い形だなあと思いましたが、すぐに日本の夏=蚊取り線香になりました。
また、蚊の鳴き声も独特ですよね。もし、『どうしてカはみみのそばでぶんぶんいうの?―西アフリカ民話より 』(ほるぷ出版)というアフリカの絵本をまだ読んだことがなかったら、是非読んでみてください。とてもおもしろく、絵もすてきな絵本です。
Wasp, Bees <ハチ>
蜂には大変な思い出があります。ある日、日本のおばあちゃんが遊びにきました。
家には小さな庭があり、庭いじりが好きなおばあちゃんがほうきを持って外に出て、上の葉っぱなどを取り始めたとき、きゃあーー! という叫び声が!
蜂の巣があったのです。おばあちゃんがまちがってその巣にさわってしまい、蜂が飛んできました! おばあちゃんの顔や首も刺されました。急いで家のなかに入りましたが、大変です! 薬がないので、外へ出て土をとり、水と混ぜてどろを作りました。おばあちゃんをいすに座らせ、刺されたところにそのどろをたくさん、パックのようにぬりま した。
これはアリゾナに住んでいた私のおばあちゃんのやり方でした。ぬれたどろを皮膚につけ、どろがかわくと害虫の毒をとる力があると、おばあちゃんがインディアンの方から聞いたそうです。この記事を読んでいるみなさんもびっくりですよね!
土にはバイキンがいるじゃないの、と思うかもしれませんが、私も山で蜂に刺されたとき、このやり方を何回かやったことがあります。薬がないときには役に立ちました。
日本のおばあちゃんもどろにはびっくりしていましたが、ぬられたどろがかわくまで素直に、静かに座っていました。そのあとに顔や首を洗うと、たくさ ん刺されたところがあったはずなのにほとんど見つけられませんでした。おばあちゃんに聞くと、しばらく経っても痛くなかったそうです。
私はこの方法を自分の子どもにも使ったことがありますが、みなさんはけっしてまねはしないでくださいね! 私たちは大丈夫でしたが、心配ならお医者さんに聞いてみてください。(きっと変な顔をするでしょう…)
Cicada <セミ>
最後は蝉です。日本で私は、東京・三鷹にある国際基督教大学に留学していました。初めて大学をたずねたとき、とてもきれいな女性、ミス京都のけいこさんが私たちをガイドしてくれました。
大学で突然すごい音を聞き、びっくりしました。なんの音ですか? と聞いたら、蝉です! と答えてくれました。カリフォルニアではそういう虫の鳴き声を聞いたことがなく、あまりにもすごい音なので、窓の近くから外の木を 見て、その音の元を一生懸命探しましたが見つけられませんでした。
外へ出て、けいこさんが蝉を見せてくれました。なんて大きい虫だろうと思いました。そして蝉のライフサイクルの話を聞き、またまたびっくり! 長い間土のなかにいて、やっと出たと思ったら、短い命…。かわいそうだと思いました。
娘たちも、初めて蝉のことをみたときはとても喜んでいました。蝉の鳴き声を聞くと夏を感じます。夏のシンボルではないでしょうか。また、蝉の抜け殻 も不思議ですね。娘たちは蝉の抜け殻を見つけてよく喜んでいました。何回か、娘たちと一緒に蝉が殻から出てくる瞬間を見たこともありました。蝉も素晴らし い虫ですね。今いるカリフォルニアでは蝉の鳴き声が聞こえないので寂しいです。ちゃんと夏が来るかしら?
鈴や風鈴、御神輿、花火など、日本の夏にはさまざまな夏の音がありますが、やっぱり虫の鳴き声を聞くと、夏! という季節を感じられる気がします。虫の声は夏の自然な声。虫の鳴き声がきっと夏を呼んでくるのかもしれませんね。
夏が来るのは虫のおかげかもしれませんね(笑)! 虫を大切にしましょう!