3人のお子さんのママであり、ファイナンシャルプランナーとして活躍中の畠中雅子先生。
この連載では、先生がご自身の育児やさまざまな家族の相談を振り返りながら、ここだから言える、リアルなお金と子育てのアドバイスを伝授します。
赤ちゃんが生まれ、いままで以上にお金がかかるわ…と不安な方へ。お金のヒントを、そして子育ての楽しさを、たっぷりとお届けします!
前回は「結婚前の平均的な貯蓄額」をご紹介しました。今回は、0歳から9歳までのおけいこ事事情をご紹介します。引用するデータは、2015年2月に発表されたアクサダイレクト生命の「第2回 子どものおけいこ事に関する意識調査」です。
今回はいきなり、1ヵ月にかかるおけいこ費の平均額からご紹介します。データは年齢別に、3階層に分かれています。
●0~3歳児…9245円
●4~6歳児…1万1939円
●7~9歳児…1万6239円
みなさんはこの金額を見て、どのように感じられますか?
私は、0歳を含めて1万円近いおけいこ費が掛かっている現実を見て、「おけいこ事が早期化しているなあ」と感じました。
このデータによると、おけいこ費が家計に占める割合は、平均で7.4%。年収300万円未満のご家庭では8.0%、年収1000万円以上では7.8%と、支出割合は年収に関係なく、7~8%程度で推移しています。つまり年収の高いご家庭ほど、金額的にはおけいこ費を多くかけているわけです。
年収300万円未満のご家庭で、おけいこ費に8%もかかっている場合、貯蓄が難しくなっていると推察できます。特に4~6歳、つまり幼稚園に通っているときに、ひと月1万2000円近いおけいこ費を払うと、年収500~600万円くらいのご家庭でも、十分な貯蓄ができないのが現実でしょう。
おけいこ費をねん出するために、「食費を切り詰めた」「自分の小遣いを減額した」「レジャー費を見直した」など、家計を見直す努力をしているご家庭が多くなっています。その反面、消費税が8%に上がってからも、93.7%ものご家庭でおけいこ費を見直していないという現実があり、消費税が10%に上がるとしても、43.4%はおけいこ費を見直す予定がないと回答しています。個人的には驚きましたが、食費やレジャー費よりも、おけいこ事に重点を置くご家庭が少なくないということかもしれませんね。
私は、おけいこ事について賛成でも反対でもありません。家計が多少厳しくても、「おけいこ事をさせる必要はありません」というアドバイスが現実的でないことも理解しているつもりです。
とはいえ、貯蓄がまったくできていないのに、2つ以上のおけいこ事をしているのは、家計的に“問題あり”だと考えます。「貯蓄ができなくても、おけいこ事は子どものためだから続けたい」と言われるケースもありますが、おけいこ事にお金をかけることで、将来の教育費準備が手薄になるのは本末転倒だと思います。
お子さんが小さい時に貯蓄ができなければ、この先、貯蓄できるチャンスは、ママが再び働き始めたときくらい。目先のおけいこ事に振り回されて、将来の教育費準備が手薄だと、本格的に教育費がかかり始めた時に「貯蓄の少なさ」に後悔する可能性もあるでしょう。
家計アドバイスをする立場からは、おけいこ費が家計支出の7%台を占める現実は「かけすぎ」だと感じています。おけいこ費の支出割合は、月収の4~5%までが安全ラインだと考えているからです。例えば月収が25万円のご家庭では、1万円から1万2000円が上限になります。みなさんは、おけいこ費の割合が4~5%では、少なすぎますか?
次回更新は5月8日の予定です。