はじめに
HELLO!
1980年に2人の娘(3歳と1歳)と一緒にアメリカから日本にやって来た青い目のテリーです!
子育て、食べ物、洋服、生活、季節、習慣、文化・・・日本とアメリカでは違うことばかり!
だけど、いろいろな日本とアメリカの違いのおかげで、とっても面白くて楽しい子育てができました!
外国人のママが少なかった当時の“青い目の子育て奮闘記”をどうぞお楽しみください!
プロフィール
Teri Suzanne テリー・スザーン
元「こどもの城」国際交流部長。作家。切り紙のイラストレーター。声優。日本や韓国、香港、アメリカでの講演や、NHKの番組、青山円形劇場への出演などもこなす。子どものためのバイリンガル教育教材コンサルタントとして『えほんや』『エーゴ旅行社』(iTunesアプリ)の英訳と声優を担当。
思い出を大切に
PRINTED MEMORIES
娘たちを産んでから、だいぶデジタル化が進みました。赤ちゃんや子どもの写真をプリントしてアルバムに貼る時代から、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSにアップする時代に変わりました。もちろん、多くの保育園や幼稚園の父兄の方は、卒園する子どもたちのために、年間行事が満載の楽しいスクラップブックにそれぞれの子どもの写真を貼ります。この習慣は大変素晴らしいと思います。娘たちは保育園にいる間に毎年、先生たちが作ったかわいい写真のミニアルバムをもらいました。夏のプールや遠足、運動会、動物といっしょに撮った写真などの思い出の写真たちです。写真だけではなく、先生がていねいにかわいい乗り物、動物、花などを色紙から切って貼ったり、かわいいシールが貼ってあったり。メッセージも書いてある、心のこもったミニアルバムでした。
このミニアルバムは今、大人になった娘たちの大切な思い出として残っています。
SCRAP BOOKING MEMORIES
現在は昔と違い、いっぺんにたくさんの色紙を切れるようなパンチがあります。子どもたちの卒園アルバムを作るときなどに大変便利です。また、いろいろな形にカットできるシートなども売っています。
日本で今、スクラップブックへの興味や活動が注目されているようですね。写真を撮ることも以前とは変わり、カメラがないときにも携帯があれば大丈夫になりましたね。それから、以前のように写真のネガも必要がなくなりました。
私の家にはまだ、娘の小さいころに撮ったネガが山ほどあります。ビデオテープも同様です。場所をとるカセットより、今はデータやCDに変わり、重いビデオカメラではなく、携帯や軽いビデオカメラに。ネガとカセットの時代はもう終わりましたね。
ドキドキHEART BEATS
娘たちが生まれる前には、毎月、お医者さんのチェックがありました。妊婦検診ですね。私はそのときにカセットレコーダーを持っていき、娘たちの心臓の音(heart beat)をカセットに録音したものです。
今は、おなかの中の赤ちゃんの写真(ultrasound sonogram)などをもらいますよね。素晴らしい思い出になることでしょう。現在の親は幸せだと思います。
大きくなあれ!
初めて妊娠したとき、私は幼稚園の先生でした。その年のカリキュラム(年間の教育課程)は、「こどもの発達と成長」というテーマにしました。園の子どもたちの前で、私のおなかもだんだん大きくなります。大変よい勉強になると思いました。
まず、一年間の子どもの成長をはかるため、床に大きな紙を置き、一人ずつ紙の上に横になります。からだの周りに、その子のアウトラインを描くのです。子どもはそのアウトラインのなかに、自分の顔や洋服などをクレヨンと絵の具で描きました。最後にそのアウトラインをはさみで切り、幼稚園の部屋の壁に全員の絵を貼りました。生徒のからだの下には、子どもの名前、誕生日、身長と体重を書いて貼りました。卒園の時にもう一度身長と体重をはかって比べたため、子どもは自分の成長をはっきりと感じることができたのです。
また、子どもたちに、自分の家にいる赤ちゃんや兄弟の成長をもっと理解できるよう、あることをしました。
自分より小さいきょうだいのいる子の親に、赤ちゃん、2歳、3歳の兄弟を幼稚園に連れてきていただきました。その日の小さい子を真ん中にして、園児たちが円の形に座ります。
園児たちは自分のきょうだいを紹介してから、いろいろな質問をしました。たとえば「赤ちゃんは歩きますか?」「ひとりで食べることができますか?」などです。違う年齢のきょうだいがきましたから、子どもたちは人間の成長を自然に、自分の目で見て理解することができました。子どもたちが自分自身の成長や、自分にできることなどがだんだんとよくわかってきたようで、よい勉強になりました。
THREE HEARTBEATS
また、園長や父兄の許可をいただいて、おもしろいこともやりました。
産婦人科のお医者さんと看護師さんに教室に来てもらったのです。その日は子どもたちだけではなく、父兄の方も同席していました。
最初に5歳の園児の心臓の音をみんなに聞かせ、そのあと、看護師さんの2歳の子どもの心臓の音を聞かせます。最後に(ちょっぴり恥ずかしかったですが)私の大きなおなかを少し見せてから、先生がゼリーをつけて、もうすぐ生まれてくる娘の心臓の音を聞かせたのです。
3人の心臓の音には園児たちもびっくり! 大喜びしていました。すごくおもしろかったです。自分がお母さんのからだのなかにいた時にも、自分のハートはドキドキしていたのですから…!
まだそのカセットテープを持っています。音はすごいですね。機関車のような音です!
同じ日に、産婦人科のお医者さんが子どもたちに絵本も読んでくれました。そして、子どもが生まれる大きな模型を見せてくれました。そのあとは子どもたちからの質問タイム。ある男の子は、大変よい質問をしました。「お母さんのからだのなかにいる間、赤ちゃんはどうやって食べるのですか?」。看護師さんの答えにみんなはびっくり! 実はその日、教室にくる前に、病院へ行き、産んだばかりの胎盤(placenta)をもらって持ってきていたのです。見ることで気持ち悪くならない子どもや親たちに見せてくれました。ながいumbilical cord(へその緒)を見せてくれ、「これで栄養が赤ちゃんに運ばれるんですよ」。子どもたちはそれを見て「なぜ?」と聞きました。そこで先生は、はさみでコードを切り、断面を見せてくれました。なんと、なかにはたくさんのトンネルのようなものがあったのです。それを見て、私もすごく勉強になりました。
メモリーを大事に!
赤ちゃんから幼稚園までの成長は本当に早いです。写真を撮っても、記録するには写真やビデオ、デジタル記録、 CDなど、それぞれたくさんあります。大きくなった時、その素晴らしい成長のようすを自分だけではなく、自分の子どもにも見せてあげてください。大事なことだと思います。また、ママとパパの昔の写真や映像も、お子さんにも見せてあげると、家族の楽しいコミュニケーションになります。
お子さんの絵や文についての記録も、かけがえのない記録になります。
額縁に入れるといいと思いますが、紙自体が弱いので、できれば絵をスキャンしたり、写真を撮っておいたりすることもよいと思います。子どもが初めて描いた絵や、初めての動物の絵、初めて自分で自分の名前を書いた時など…。今は便利なデジタル時代ですから、記録をとることは大事です。また、子どもの絵を額縁に入れて、家の壁にみんなに見えるようにかけておくといいでしょう。私は日本の童謡の切り紙絵本のセットを出版したとき、まゆかとくにみも切り紙をやりました。
今月はまゆかのどんぐりころころの切り紙と、初めてぞうさんを描いた絵、それから紙粘土のぞうを紹介します。紙粘土のぞうの鼻はあまりに長いので、そのために特別な額縁を作ってもらいました。子どもたちは、小さいときにいろいろなものを紙粘土などで作りますよね。ぜひ、よい飾り方や保存する方法を考えてあげてください。
子どもは自分の想像力を大事にしていると思います。私にとって、娘たちが自分たちで考えて作った工作や自分の手で描いた絵、自分の手で言葉や文章を書いたものは、なにより心にずっと残るメモリーです。来月はくにみの作品も見せます! 楽しみです。思い出を大事にしましょう!
どんぐりの帽子にまゆかのMが!
「どんぐりころころ」の歌も好きでした。
まゆかが初めてぞうを書いた絵。
まゆかの作った紙粘土のぞうさん。
額縁からそっと出したものです。
長い鼻をおさめるため、額縁の奥幅は8.5cmも!
美術大学でまゆかが実物大のぞうを描きました。