3人のお子さんのママであり、ファイナンシャルプランナーとして活躍中の畠中雅子先生。
この連載では、先生がご自身の育児やさまざまな家族の相談を振り返りながら、ここだから言える、リアルなお金と子育てのアドバイスを伝授します。
赤ちゃんが生まれ、いままで以上にお金がかかるわ…と不安な方へ。お金のヒントを、そして子育ての楽しさを、たっぷりとお届けします!
出産でもらえるお金のひとつに「出産育児一時金」があります。育児をされている方なら、受け取られた経験があるでしょう。
この出産育児一時金、現在は基本額が42万円と決められています。基本額というのは、どの健康保険に加入していても、必ずもらえる最低金額。健康保険組合や国民健康保険によっては“付加給付”といって、42万円より多い出産育児一時金を支給しているところもあるのです。
たとえば東京都港区の国民健康保険では、60万円までの実費が支払われます。港区の場合、区内の病院では40万円台で出産するのは不可能なケースが多いため、実情に合わせた付加給付をしているということ。健康保険組合では、47万円を支給するところが多いように思います。
さて、わが家は主人が会社員で、私は自営業者(フリーランス)。子どもたちは主人の健康保険に加入しており、私自身は国民健康保険に加入しています。
現在20代前半の長女(第1子)を出産したときは、出産育児一時金(当時は違う名称だった気が・・・)が13万2000円でした。その後、現在高3の長男(第2子)を出産したときには24万2000円をもらい、中3の次男(第3子)のときは35万円。第1子と第3子を比べると、もらえる金額が2.5倍以上に増えていたことになります。
その後、「産科医療補償制度(出産時のトラブルで重度の脳性まひになったお子さんに対して、合計3000万円の保険金を支払う制度)」ができました。その制度にかかる保険料は1回の出産につき3万円。この3万円が上乗せされて、出産育児一時金は35万円から38万円に上がりました。さらに現在は、出産育児一時金が39万円となっており、この金額に産科医療補償制度の3万円の保険料を加えて、基本額が42万円となっています。
ところで、現在の出産育児一時金は「直接支払制度」といって、保険組合から病院に直接払ってもらう仕組みを利用できる病院が多くなっています。この制度を利用すれば、病院側から受け取った同意書に署名するだけでOK。直接支払制度の導入で、出産時に準備するお金はかなり抑えられるようになったと思います。
私が出産した時代には直接支払制度はなかったため、入院前に病院に保証金を支払う必要がありました。私も30万円くらいの保証金を支払った記憶がありますが、直接支払制度なら保証金の準備も必要ないので安心ですね。
出産育児一時金の増額や直接支払制度の導入で、出産のために準備するお金はかなり楽になっていると思います。そんな中で、育児雑誌に寄せられる読者の体験談を読んでいると、クレジットカードのポイントを溜めたいからという理由で、「あえて事後申請」を利用している人が、結構いることに気づかされます。出産費用の立て替えは必要ですが、まとまった金額の支払いをしてポイントを溜めたいというわけです。出産費用でポイントゲット!……なるほど、お見事!といった感じですね。
次回更新は12月14日の予定です。