3人のお子さんのママであり、ファイナンシャルプランナーとして活躍中の畠中雅子先生。
この連載では、先生がご自身の育児やさまざまな家族の相談を振り返りながら、ここだから言える、リアルなお金と子育てのアドバイスを伝授します。
赤ちゃんが生まれ、いままで以上にお金がかかるわ…と不安な方へ。お金のヒントを、そして子育ての楽しさを、たっぷりとお届けします!
すでに出産を終えられた方は、2人目の時に役立つかも!?という気持ちで読んでいただきたいのですが、出産にまつわるお金まわりの手続きは、ママの身体がしんどいときに行わなくてはなりません。そのような手続きをパパが上手にこなしてくれると、物事がスムーズに進みますし、ママも助かります。そこで今回は、パパが効率的に手続きを行うためのコツをご紹介します。
出産すると、誰でも最低42万円もらえる出産育児一時金は、「直接支払制度」が主流になっています。この直接支払制度は、産院側が用意した同意書にサインをすれば、出産育児一時金の申請や受取りを病院が代行してくれる制度です。実際に病院が出産育児一時金を受け取るのは出産から1~2か月後ですが、出産育児一時金で不足する出産費用を払えば退院できるようになっています。出産育児一時金については、同意書にパパ(ママでOKのケースも!)がサインすれば、手続きが終わるのが一般的です。
さて、パパの出番はここからです。赤ちゃんが生まれた場合、14日以内に出生届を提出しなければなりません。出生届は、住所地でない役所(たとえば里帰り先の役所)でも受け付けてもらえますが、児童手当や乳幼児の医療費助成制度は、住所地の役所(公務員の児童手当は職場)でしか手続きができません。里帰りしていると、母子手帳は里帰り先にあるため、出生届はママが里帰り先で出し、児童手当や乳幼児医療費助成制度の申請については、パパが母子手帳を取りに行ったり、ママに送ってもらってパパが行うことになります。そのため、「母子手帳が行ったり来たりして大変だったし、時間もかかった」という声を聞く機会も多くなっています。
そこで、手続きを簡単にするためにおすすめしたいのは、「出産までに名前を決めておくこと」。性別が判らない場合は、男の子、女の子のそれぞれの名前を考えておきたいところです。
出産までに名前を決めておけば、産後すぐに出生届を提出できます。入院中に赤ちゃんの顔を見に行ったときや、退院直後に1~2日程度母子手帳を預かれば、パパは役所で出生届と児童手当の手続きができてしまうわけです。
児童手当は生まれた月のうち、あるいは出産の翌日から15日以内に手続きを行わないとひと月分(=1万5000円)をもらい損ねます。里帰り先などで出生届を提出すると、住所地の役所で出生届が確認できるまでに数日かかるケースもあり、ギリギリで提出すると、ひと月分もらい損ねてしまう可能性もあり注意が必要です。
自営業者などの国民健康保険加入者であれば、出生届、児童手当、乳幼児の医療費助成制度の手続きが、1日で完了します。健康保険や共済組合に加入している場合は、パパ(あるいはママ)の健康保険に赤ちゃんを加入させないと、乳幼児の医療費助成の手続きはできません。が、もらい損ねる可能性がある児童手当と違って、こちらは1日、2日、急がなくても大丈夫です。
出産前に名前を決めて、ママの入院中や退院直後に母子手帳を預かり、住所地の役所でパパが手続きを行うのが、効率的でもらい損ねる心配のない方法だと思います。
※2015年10月時点の情報に基づいています。
次回更新は11月13日の予定です。