3人のお子さんのママであり、ファイナンシャルプランナーとして活躍中の畠中雅子先生。
この連載では、先生がご自身の育児やさまざまな家族の相談を振り返りながら、ここだから言える、リアルなお金と子育てのアドバイスを伝授します。
赤ちゃんが生まれ、いままで以上にお金がかかるわ…と不安な方へ。お金のヒントを、そして子育ての楽しさを、たっぷりとお届けします!
出産したみなさんなら、出産育児一時金の基本額が42万円だということはご存知でしょう。ところでみなさんが出産されたときは、出産育児一時金だけで出産費用をまかなえたでしょうか。付加給付があったのでまかなえたという人、出産育児一時金だけではまかなえなかった人のどちらもいるはずですが、今回は都道府県別の平均的な出産費用をご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは、公益社団法人国民健康保険中央会が毎年発表している出産費用の調査です。最新データに当たる平成27年度の金額をご紹介しますと、全国的な出産分娩費用の平均額は、入院日数が6日間の正常分娩の場合で49万9615円になっています。約50万円というのが、出産費用の平均額になっているわけです。出産育児一時金の支給額が、基本額の42万円のご家庭では、退院時に8万円くらいの準備が必要になる計算です。
ちなみに出産費用の内訳を見てみると、分娩料が24万9603円、入院料が11万2504円、室料差額が1万6008円、新生児管理保育料が5万752円、検査・薬剤料が1万2905円、処置・手当料が1万4301円、産科医療補償制度の費用(保険料など)が1万5884円、その他が2万7657円となっています。出産費用の約半分が、分娩費用にあてられるんですね。
ここでご紹介しているのは正常分娩の場合の平均額ですが、分娩が帝王切開になった場合には、分娩料が健康保険の対象になるため、費用負担はおさえられます。帝王切開の場合は入院日数が延びるとしても、出産分娩費用は42万円以下に収まるケースも多いのではないでしょうか。
さてここからは、出産費用の高い都道府県と安い都道府県を見ていきます。
出産費用がダントツに高いのは、東京都。平均額が60万9189円と、全都道府県で唯一の60万円超えになっています。第2位は神奈川県の55万5749円です。東京都では、地域にある出産可能な病院の費用が高いことから、自治体独自で助成金を出して、出産費用の援助をしているところもあります。
ちなみに、高額都道府県第3位は栃木県で53万8927円、第4位は宮城県の52万6998円、第5位は埼玉県の52万5350円となっています。
今度は反対に、出産費用が安くすむ都道府県をご紹介します。
全国の出産費用で一番安くなっているのは鳥取県。平均額は39万4087円です。実際に平均額くらいで出産費用が収まれば、出産育児一時金からおつりがくる計算です。
出産費用の安い都道府県第2位は、熊本県で41万3722円、第3位は沖縄県で41万5783円になっています。この3県については、退院時に自己負担なしですむ計算になります。
第4位の宮崎県42万4328円、第5位の大分県42万8284円も、自己負担の少ない県といえるでしょう。
このように都道府県別の平均額を見ていくと、かなりの地域差があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。もし近い将来、出産のご予定がある方は、ご参考まで。