今年の1月、新しい医療費控除の制度が導入されました。その名称は「セルフメディケーション税制」と言います。「セルフ」という言葉の意味は、健康診断を受けているなど、健康管理に気を付けている人自身が申告できる医療費控除だからです。

さっそく、新制度の内容をご紹介していきましょう。

会社で健診を受けていれば、前提条件はクリア

セルフメディケーション税制とは、一定の健診などを受けている人が、年間に1万2000円を超えるOTC医薬品を購入した場合に、確定申告で医療費控除の申告ができる新しい制度です。健診として認められるのは、会社で受けている定期健診のほか、人間ドック、自治体のがん検診、インフルエンザの予防接種など。定期検診をしている会社に勤めている方は、健診の条件はすでにクリアしていることになります。

従来からある医療費控除は、1年間にかかった医療費が10万円を超えるか、所得の5%を超えたときにしか申告ができませんが、新制度の金額の上限は1万2000円になっています。1年間の医薬品の購入額が、1万2000円を超えるご家庭は少なくないでしょう。ただし、実際に医療費控除として申告できるのは、どちらかの制度。従来の医療費控除か、新しい医療費控除のどちらかを選択して申告することになります。

子ども用の医薬品も対象になる商品がたくさん

ところで、OTC医薬品と言われても、ピンとこない方が多いと思います。そこでここでは、薬の名前をいくつか挙げてみたいと思います。順番は「あいうえお順」にしています。

「アリナミンEXゴールド」「イブ」「ガスター10」「コルゲンコーワIB錠」「こどもパブロンせき止め液」「新コンタックかぜ総合」「新ルルAゴールドDX」「ストナリニZ」「大正胃腸薬S」「トクホンハップ(冷)ID」「バファリンEX」「パブロン鼻炎カプセルZ」「ムヒアルファEX」「メンソレータムエクシブ液」「龍角散せき止め錠」―など。

まだまだたくさんの対象医薬品がありますし、例として挙げた医薬品のなかにも身近な医薬品がかなり含まれていると思います。OTC医薬品は、パッケージに新制度の対象商品であることがわかるマーク(「セルフメディケーション 税 控除対象」と書かれています)がついていますので、薬局などで箱を見ればOTC医薬品か否かがわかります。

定期検診を受けられない人は自治体の健診やインフルエンザ接種で

新しい医療費控除は、差し引かなければならない金額が1万2000円になって申告しやすいものの、「健診を受けている」という前提条件をクリアしなければなりません。自営業者のように、定期的な健康診断を受けられない人は、自治体のがん検診やインフルエンザの接種などで、新しい医療費控除の申告ができる条件を整えておく必要があります。

言い換えれば、年内に健診の条件を整えておかなければ、来年の確定申告のときに1万2000円を超える医薬品を購入していても、新制度の医療費控除は受けられません。無料や低額でのがん検診をおこなっている自治体は多いですし、小さなお子さんがいるご家庭ではインフルエンザの予防接種を受ける機会もあるでしょう。受けようと思いつつも先送りにしていたがん検診を受けるのは、健康管理にも役立つはずです。自身の健康のためにも、これを機に一度健診などについて、考えてみてはどうでしょうか。