はじめに
HELLO!
1980年に2人の娘(3歳と1歳)と一緒にアメリカから日本にやって来た青い目のテリーです!
子育て、食べ物、洋服、生活、季節、習慣、文化・・・日本とアメリカでは違うことばかり!
だけど、いろいろな日本とアメリカの違いのおかげで、とっても面白くて楽しい子育てができました!
外国人のママが少なかった当時の“青い目の子育て奮闘記”をどうぞお楽しみください!
プロフィール
Teri Suzanne テリー・スザーン
元「こどもの城」国際交流部長。作家。切り紙のイラストレーター。声優。日本や韓国、香港、アメリカでの講演や、NHKの番組、青山円形劇場への出演などもこなす。子どものためのバイリンガル教育教材コンサルタントとして『えほんや』『エーゴ旅行社』(iTunesアプリ)の英訳と声優を担当。
自然は友達、地球も友達
何年か前、東京・青山にあったこどもの城の円形劇場で、子ども服メーカーのファミリアといっしょに、家族のためのバイリンガルシアター“地球と手をつなごう”という公演をしました。その中で、当時まだ小学生だった娘たちと一緒に“雨は友達”という踊りと歌を演じました。
思い返すと、やっぱり親子と地球は小さいころから手をつなぐべきではないでしょうか。人間は今まで、地球の健康はあたりまえのことと考えていました。長い長い間、私たちはたくさんのゴミを捨てました。水や緑、空なども、けして大事にして来なかったのです。そのため、現在、地球は元気ではありません。
今、このときのために、そしてこれからの将来のために、私たち親は、地球の大切さ、すばらしさをお子さんに伝える責任があると思います。小さい時から、ごくさりげないやり方で人間の周りにある自然について話をしたり、感謝の気持ちをもった活動をしたりすれば、子どもはきっと、もっと自然を大事にするでしょう。
今回は、自然についての子育ての思い出を話したいと思います。ぜひ、毎日、お子さんといっしょに自然を大切にはぐくむ心を持ちましょう。
花たち、ありがとう
娘たちの保育園や幼稚園は、家から15分ぐらいでした。園までの道を歩きながら、近所の家々にあった植木鉢の花やさまざまな植物を見ました。季節によってもちろん見るものは違いますが、街でもアパートや家の周りには、花や植物がいっぱいあります。日本の大好きなところです。階段の上や窓の下、玄関など、どこを見ても必ず、緑があります。娘たちと歩きながら、パンジーのかわいい顔を見つけるとうれしくなって、必ず「おはよう!」または「ありがとう!」と言いました。
花たちは私たちのために、一生懸命頑張って咲いてくれています。素敵な色、かわいい葉っぱ、優しい顔を見せて楽しませてくれます。花たちを見ると、その日の良いスタートになります。ですから必ず声をかけ、娘たちにその花たちに感謝することの大切さを教えました。日本ではきっと、自分の家から歩くことが多いでしょう。歩いて5~15分ぐらいで保育園や幼稚園に着くのなら、そのわずかな時間にはせめて携帯を見たり電話をしたりしないで、お子さんとゆっくり歩きながら、花たちのことを話してください。お子さんがベビーカーに座っていても、押しながら声をかけてあげてください。「見てごらん、きれいな色ね! 花たちありがとう!!」
花の名前や色、形などを教えたりすることも、おもしろくて楽しい自然の勉強です。多くの方はきっと、歩きながら携帯を見ているか、前ばかり見ていることでしょう。息を大きく吸って、自然に感謝することも大事です。さらに、自分の家にも植木鉢や植物、野菜などができるともっと楽しいですよ!
どろんこが気持ちいい!
今私は、ある小学校でアルバイトをしています。先週、PTAからのお願いがありました。それは外にある砂場のことです。幼稚園や、もう少し大きな子ども達の遊び場には、ブランコや遊び道具があり、その下に砂場があります。風があるときには砂が子どもの目に入ることもあるし、子どもの靴や洋服を汚すこともあります。それから猫がうんちすることも!
砂が汚いので、ゴムのようなカーペットに取り替えてほしいという意見もありますが、先生たちの中には反対している方もいます。なぜなら、砂は自然な道具だからです。
子どもが強くなるためには、自然のものとふれあうことが必要です。子どもにとっては手を汚したり洋服を汚したりすることも大事なことです。特に五感のことを考えると、砂はより大切だと思います。ゴムの上で遊ぶより、砂の上で遊んだほうが、砂の凸凹を感じて足も強くなるでしょう。
私が幼稚園のころは、砂遊びは大事でした。大きな木の下で砂遊びを楽しんでいました。城などを作ったり、木から落ちた小さな枝を使って街を作ったりしました。友達といっしょに遊ぶことは、社会勉強にもなりました。手や洋服を汚すことはあたりまえのこと。元気に遊びました。海へ行くと、誰でも砂遊びが大好きですよね。スコップで穴を掘ったり、プラスチックのカップで街を作ったり、本当にワクワクします。
家から10分ぐらいのところに海があるのでよく行きます。ビーチでは、あちらこちらで子ども達や親子が砂遊びをしています。洋服の中にも実は、砂がいっぱい入っているでしょうし、裸足ですから砂を踏んだり、汚くなったり、歩いたりします。でもみんな楽しそうです。
考えてみれば、毎日散歩している犬はいっぱいいるし、カモメやいろいろな鳥も砂の上に座ったりしています。うんこもするでしょう。でもなぜか人は「海で汚れる! 汚い!」 とはあまり考えないようです。それならなぜ、学校、保育園、幼稚園の砂場はなぜ汚くて悪いと思うのでしょうか? とても不思議です。娘たちにも砂遊びが好きでした。どろんこ遊びも大好き! 現在、親の中でも、「どろんこが危ない、汚い」という声があります。
どろんこは本当に楽しいです。いろいろなものも作れるし、子どもにとって大切な自然の遊びです。地球に住んでいる私たちは、地球と肌と肌でふれあうことは必要です。地球を感じるために、手や足での直接的な出会いは必要なのです。手でさわったらどんな気持ちがするでしょう? 足で踏んだらどのような気持ちになるでしょう? なんでも「汚いからやめましょう」というと子どもは強くなりません。
どろんこについてのおもしろい話があります。もしお医者さんがこれを読んだら驚くかもしれません。
小学生になり、娘たちは東京・世田谷区の深澤に住みました。家の後ろにへいがあり、娘がそれを登って駒沢公園で遊びました。家の周りには緑が多く、木もたくさんありました。
ある週末、日本のおばあちゃんが家に訪ねてきて、娘たちと外の庭の掃除や手入れをやりました。蜂の巣があり、なんと間違ってぶつかってしまい、蜂がとても怒って、おばあちゃんの顔や首、手を刺したのです! 大変だったのですが、そこで私が昔、アメリカの親戚に聞いたことをしました。急いで娘たちが土を集めて大きなボウルに入れ、その中に水を入れて、どろんこをたくさん作りました。おばあちゃんを椅子に座らせ、娘といっしょにそのどろんこをおばあちゃんの刺されたところにぬりつけました! おばあちゃんもびっくりしましたが、私のことを信じて落ち着いて静かに座っていてくれました。
顔や首、手、腕にもどろんこを塗ります。しばらく待つとどろんこが乾き、ぬるぬるだったものは硬くなってきました。どろんこをやっと取ると、蜂に刺されたところがとても小さくなって、痛みもなくなっていたのです。どろんこが蜂の毒を自然に抜いてくれたのです。おばあちゃんもびっくりしていました。
昔、サンフランシスコの幼稚園で先生をしていたとき、子どもたちといっしょにりんご狩りの遠足に行きました。そのとき、私の母が特別に参加しました。私はりんごを取るため、はしごに登ったとき、蜂に足を刺されました。私は虫、特に蜂などにアレルギーがあるため、刺されると大きく反応します。
そこで母が土を手に入れ、水をかけて、どろんこを作って私の足につけてくれました。その方法で痛みも取れ、はれもひいたのです。
母がいうには、薬などがない時に自然の力に頼ることは大事。もちろん、この方法を読む方は信じられないと思うか、びっくりすることでしょう。「土の中には虫などがいるじゃない!」「土は汚い」などという人もいるでしょう。でも、今までこの方法で何回も大丈夫だったことから、私は経験上、母や昔からの親戚の知恵を信じています。
空のお友達
上を向いて行きましょう! 空は美しいです。毎日朝から夕方まで、空の表情は変わっていきます。毎日違うからうれしいし、私たちは幸せだと感じるのです。散歩の時に雲を見て、いろいろと想像したものです。何が見える? 龍? ぞうさん? うさぎ?
私たちはいつも、急いで歩いています。まっすぐ前を見ているか、歩きながら携帯を見ていることも多くなっているでしょう。足元の緑や花たち、それから上にある空の雲も、ぜひお子さんといっしょに楽しんでください。
雨の後に虹があれば最高ですが、昼間の雲や早く流れていく雲、夏にはダイナミックな形や動きの雲を楽しむといいですね。どんな形に見えるでしょう。きっと親と子で見える形は違うと思いますが、想像し合うゲームも楽しそうですね。
もちろん、夜のお星さまもぜひ見るべきです。流れ星もあれば、さらに幸せでしょう。娘たちは小さい時に日本に住んで、日本の文化や歌などをいろいろと覚えました。お月さまの中にうさぎがいて、お餅つきをやっていることも信じました。しかしアメリカでは、うさぎではなくて男の人の顔がいると言われるのです。国によって考え方はいろいろですね。同じ月なのに、表面にあるものの見かたが違うこともおもしろいと感じました。
また、七夕の話もすばらしい話ですね。娘たちにとって七夕はとても大切な日でした。保育園で飾りを作ったり、てるてる坊主を作ったり、2人の心の中にはやっぱり、日本のおかげで優しい思い出がいっぱいあります。
私が子育てをした時代には、自然のものを見たり、感動したり、感謝したりする時間がありました。現在のtechnology時代には、大人たちは自然のものよりも携帯やタブレット、ゲームに向かうことが多くなっているような気がします。テレビのまえ、ゲームのまえ、タブレットのまえ、携帯のまえにお子さんを座らせることはたしかに便利ですよね。しかし、バランスは必要です。デジタル機器が普及する時代になってから、親子で過ごしたり話したりする時間は短くなっています。
現在、たくさんの小学生を教えていますが、そこで感じるのは集中力や聞く耳を持つこと、直接目を見て話すこと、感動や感謝をする心が薄くなっていることです。今赤ちゃんを育てている親は、これから大きな子育てのチャレンジに向かっています。自然のことは人間にとって、とても重要なことです。
花、土、砂、雲、お星さま、お月さま、緑、木、川、海などでの体験・経験は、子どもにとって必要です。人間の心を育てるために、自然との出会いは大事なのです。私自身、やっぱり子どもと自然の中で過ごした思い出が一番心に残っています。
現在の親は大変だと思いますが、できるだけ地球や自然と仲良くして、大切な友達であることを子どもに教えてあげてください。きっとお子さんも大事にするでしょう。息を大きく吸って、笑って、生きていてよかったね。
お子さんとの素敵な自然と地球の出会いは、これからが楽しみでしょう。